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ここに1冊の本がある。或る歴史家の記した回想録だ。
回想録と言えば聞こえはいいが、
この雑多な文では、ただのメモにしか見えない。
これはわたしが持っていても仕方の無いもの。
もうすぐ始まる新しいクロノスのため、彼らに託そう。
わたしはきっかけを与えられるだけで十分だ…。
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私は【GM】氷凍。ここは、カノンの図書館の歴史書庫だ。
先代のあるGMが残した伝言から、今日この場所に来ている。
この場所に何があるのか?なぜ今日なのか?
理由はさっぱり解らないが、彼は無駄な事はしない。
無下には出来ないと、わたしがここに来ているという訳だ。
「しかし、すごい量の本だな」
誰もいない事は解っているが、どうも何か喋らないと不安になる。
古い本の匂いと、ほこりっぽい空気、
そして、周りに立ち並ぶ背の高い本棚。
図書館特有のこの雰囲気はどうにも落ちつかないな。
「さて、そろそろ時間か」
周りを見渡すが誰もいない。とても静かだ。
何も起こらないところを見ると酔狂だったのか?
そこで、私は気づく。
目の前に一冊の本が落ちている事に。
「こんなもの落ちていたか?」
いや落ちていなかった。ここには何もなかった事を覚えている。
じゃあ落ちたのだろうか?
それもないだろう。こんな静かな図書館だ。
何かが落ちれば音が響くはず。無音で落ちるなんて、それこそ奇妙な話だ。
「彼の伝言はこの事だったんだろう」
そう納得した私は、目の前の本を拾い上げ、ぱらぱらとめくって見る。
なるほど。どうやら、歴史家の覚え書きをまとめたものらしい。
この歴史家はクロノスの創世史、
特に各種族の始祖から始まる系譜について専門としていた様だ。
「この時間、この場所でか。まあ、読んでみろということだろうな」
どうやら、時間の無駄にはならなかったらしい。
本がここにあるという事は、彼も今ここにいるかもしれない。
動揺している事を悟られない様、
私はこの不思議な本を1ページから読み始めた。 |